選ばれる理由

理由1.客観的でブレのない分析、そして”共感”の活用

少し見方を変えると、途端に正反対の方向を指し示しているように見えてくるのがデータです。どこかに拠り所となる確固としたものがないと、いつまで経ってもブレのない結論は出せません。そんなとき頼りになるのは、客観的な分析を行なうための技術を身につけたプロの存在です。

しかし、企業が向かうべき方向性を正しく判断するためには、分析技術だけでは十分とは言えません。AIも含め、いつの時代も技術には限界があり、技術力を過信すれば足下をすくわれることになります。それを最小限に防ぐためには、人の判断によるクロスチェックが欠かせません。と言っても、単に”考え”や”感覚”で判断してしまっては、それまでの分析技術活用の意味がなくなってしまいます。そこで重要な役割を果たすのが、普段我々が無意識に様々な情報をもとに判断を行なう際に用いている”直感””共感”です。

つまり、主題となる商品・サービスの利用意向などのデータ一つで判断するのではなく、生活を支える楽しみ、問題意識・悩み、生活スタイル、普段の視聴メディア・コンテンツといった背景(説明変数)データを含めた総合的な分析を行なうこと、インタビュー結果、自由回答といった生の声(質的データ)を通して、その人たちの身になって分析結果を見直してみるといったプロセスが必要です。そこで”共感”できない分析内容は、改めて検証し直してみると、どこかに信頼性に疑問が残る部分が見つかるものです。

また、データ分析はデータを正しく解釈して終わりではありません。リサーチ結果を生かして、ターゲット層にとっての魅力を高める「商品の作り込み」、「プロモーション企画」、「広告クリエイティブ制作」、「販売施策」へと生かしていかなければ意味がありません。しかし、数値を中心にした淡々とした説明だけでは、(関係者を動かすための何かが欠けていて)何のアクションにもつながらなかったといった結果になりがちです。分析結果をビジネスの成果に結びつけるためには、前述のようなプロセスによって、まず分析者自身が対象となるカスタマーに”共感”し、納得できるまで徹底した分析を行い、結果として生き生きとした表現でそれを伝えることによって商品・サービスの供給側の方にも”共感”し、信頼してもらうことが必要です。そしてその”共感”を反映した商品・サービス、宣伝、販売活動がカスタマーの”共感”を呼び、さらにソーシャルメディアやクチコミ等を通じて広がっていくといった”共感”の連鎖反応(chain reaction)が重要であると考えています。

 

理由2.仮説設定力

一般に、マーケティングではデータ分析に焦点が当たりがちですが、マーケット・リサーチのステップとしては、リサーチの設計(全体設計、調査票・インタビューフローの設計など)が最も成否を左右すると言えます。なぜなら、優れた分析・提案を行なうためには、データ分析の手法、具体的な集計項目に至るまで、設計段階で予め想定しておく必要があるからです。正しく分析を行なうためには、回答者に代表性がある、比較対象と条件が揃っているなどクリアすべき点が多く、調査実施後に気づいても、得られる成果はごくわずとなってしまいます。

分析内容を予め想定するためには、問題・課題に対して妥当性の高い仮説を設定することが求められます(妥当性が高い仮説とは、すでに分かっていることに対して説明力が高いものを指しています)。また、検証結果が予想外のものであっても有効な情報が得られるよう、事前に様々な手を打っておくことも重要です。

 

理由3.機械学習を用いたデータ精度の向上

いかに分析力や調査設計が重要でも、データに偏りがある、不良回答が多く混じっているということでは、正しい結論を導くことはできません。あまりに基本的なことであるため、顧みられることが少ないのですが、2018年の裁量労働制拡大を巡る国会での首相の発言「裁量労働制の人のほうが一般の人よりも労働時間が短い」の根拠となった厚生労働省の統計に不備が見つかり撤回に追い込まれたように、その後の議論をすべて無に帰すことになることはもちろん、関係者の信頼を揺るがすほどの重大な問題になり得ます。この調査では異なる内容のデータが比較されるなど、分析の基礎知識の不足も問題として指摘されましたが、特に重要だったのは、労働時間の平均を算出する際に異常なデータのチェックが十分に行なわれていなかった点が指摘されたことです。このようなデータは異常値と呼ばれ、調査の実施に際してはチェックのうえ取り除くことが望ましいとされていますが、どこからを異常値とみなすかの判断が難しく、その方法や実施の有無は調査機関や分析者によってマチマチという状況です。

また、平均値などの数値の入力ではなく、選択肢式のアンケートではどの回答も単体で異常値と判断することは難しい一方で、様々な人が様々な状況で回答する都合上、設問文の誤読や疲れ、モチベーションの不足などによる実態を反映しない回答が見られるといった問題も指摘されています。

当社では以前からこれらの点を問題視し、異常検知という機械学習技術を用いて不良回答を検出する方法を開発しています。この方法は、複数のデータをもとに総合的な統計解析を行い、統計的に極めて起こりにくいと判断される回答パターンを示した回答データを除外するというものです。これにより、分析者の主観やそれに費やす時間の多寡に左右されず、客観的で安定的なデータクリーニングが可能になります。